2025/10/13
【アートスクール】フォトレポート『ウシロヲ見ル花』杉謙太郎 / 花人(2025.10.12)
花人の杉謙太郎さんは、花を鑑賞する「花会」を開催する際に、
その土地で見つけた花を用います。
今日のアートスクールは、杉さんがこどもたちと一緒に作る初めての「花会」です。
東京で採集した花に、こどもたちが持ち寄った花を加えて、
さらにペットボトルを加工した花器も持参してもらいました。
ワークショップそのものが「花会」、どのような会になるのでしょうか。
舞台はスポットライトを浴びた白い台。花器がひとつ置かれています。
まずは持ってきた花と、杉さんが用意した花を混ぜて好きなものを選び、ペットボトルに挿しておきます。
そして杉さんが実演。あっという間に生けおわり、周囲を取り囲んでさまざまな角度からみんなで鑑賞します。
次は参加者のこどもたちが花を生ける番です。
想像と違った展開だったのではないでしょうか。
「え、もう?」と、みんなの緊張感が伝わってきます。
迷いながらもトップバッターをきってくれたのは、お花を習っているという小学生。
ふだんは剣山を使っていて、このような「投げ入れ」は初めてのようです。
白い彼岸花を中心に、きれいに入れてくれました。
「次は自分!」とはなかなかいかず、尻込みする子が多いなか、
親御さんや杉さんと一緒に、花器を選びながら
なんとか全員が自分の花を生け、みんなに鑑賞してもらいました。
それぞれ「この形」と決めたら、最後に霧吹きを使います。
竜胆、秋桜、水引、吾亦紅……今日の花はお花屋さんの花ではありません。
枯れていたり、虫食いがあったりと、きれいに揃っているわけではないのです。
それでも、吹きかけた霧が恵みの雨のように、花がいきいきと鮮やかになります。
緊張がほぐれたところで、再び杉さんの花です。
カンナの大きな黄色い花を折った瞬間、「ひっ」と悲鳴も。
雨で折れた花ですが、花の「命」と「死」を感じさせる表現です。
花を見て楽しむ心に、何か感傷的な体験が加わったのではないでしょうか。
さて、ここまでを「ひとり」の花とすれば、ここからは「みんな」の花です。
たくさんの草花を台に並べ、ペットボトルの花器にいけていきます。
さらに、薄、桔梗、女郎花などの秋の花を1本ずつ渡され、
「風に吹かれるように」「奥のほうに飛ばす」など、
それぞれイメージを作りながら挿していきます。
出来上がったのは、みんなが自由に生けたのに、全体で見ると「調和」がとれた大作です。
人と人とのつながりが社会の調和を作る、そう見立てたような作品になりました。
最後に出てきたのは、たくさんの赤紫の実です。
ガラスの器で杉さんが潰すと、赤い液が白い台に広がります。
みんなで実をつぶして、液に紙をひたすと、跡が美しく残ります。
花は花だけでなく、実や種や、さまざまな姿になることを感じさせました。
この2時間の「花会」は、音楽とともに楽しむ時間でした。
緊張感が高まったり、静かな気持ちで花を眺めたり、
参加者の気持ちの変化に寄り添うようなドラム演奏は、先日の『代官山ズンチャカ!』に出演していた大学生の仙石くんが担当してくれました。
杉さんからのメッセージとともに締め括った花会。
花のはかなさと力強さ、そっと咲いている花の意味、こどもたちが受け取ったものが、ひとつでもあれば嬉しいです。




















