NEWSおしらせ

2023/11/05

【アートスクール】フォトレポート『何故わたしたちは写真を撮るのか。』嶌村吉祥丸 / アーティスト(2023.11.5)

「何故わたしたちは、写真を撮るのでしょう」

本日は、アーティストの嶌村吉祥丸さんをお迎えし、
写真を撮る以前になぜ、私たちが写真を撮るに至るのかについて
ZINE作りを通して対話しながら深く考えるアートスクールを開催しました。

たまたまカメラに出会い、シャッターを切ることがただ楽しかったから。
自分の撮った写真を喜んでくれた人がいたから。
記憶の記録として、心の機微を残すため。

参加者から出る、ざまざまな意見。

写真には、表現、記録、記憶、思い出、対話、感情などさまざまなことばが付随していて
「これがいいでしょ!」という押し付けではなく
この写真をみて、みんなはどう思うのか?という問いかけとして写真はあるんだそう。

では、スマホが当たり前になった今、
「自撮り」という行為は何なのかというトピックへと議題は移ります。

スマホを持っている子はほぼ自撮りをしたことがあって
友人に自分の近況を伝えるためだったり
美容院後のかっこいい!と思える自分の姿を残しておきたかったり
気軽に自撮りをして、それをSNSでシェアすることに抵抗のない世界について、考えました。

自撮りの表情は、最高に「いい」と思える一人称な写真で
他の人に撮られるときの表情は、どこか三人称な写真になってしまう。
では、自分が何か「goodness」なシーンを見かけた際に、
それを見つけたり、それを撮る自分の顔ってどんな表情をしているのか。

それが今日のワークショップの本題です。

写真を撮ると同時にインカメラでも撮影されるinstagramの「デュアル機能」を使い、
意識は、「goodness」な外のシーンに向けつつ、
それを撮る自分の表情や眼差しも含めて写真に落とし込み、
1枚ずつにキャプションをそえ、一人1冊ずつZINEにまとめていきます。

撮る中で、結果的にどのセルフィーも同じような表情だったり、
意識してないのに、なぜかかっこいい自撮りになっていたり
意識しない!と思っても、どうしてもインカメラの自分の顔が気になってしまったりと
単純に「goodness」を撮るだけではない難しさや、面白い発見がたくさんありました。

形式は同じでも、写真の切り方や、写真の貼り方、キャプションや、その文字の形から、
その人らしさがくっきりと現れて、会って数時間なのにどんな人なのかが伝わる、
そんなZINEが出来上がりました。

全員同じエリア内で撮影しているので、
同じ被写体の写真がいくつもあったり、同じ風景を撮っていても、注目する部分が微妙に違って
今回の講座を通して、同じ場所で作られた他者の作品たちから、
自分にはない視点や気付きをたくさん得られたという参加者のみんな。
はじめまして同士でも、それぞれの距離が、ぐっと近くなっているようでした。

そして講座の中で特に感じたのは、吉祥丸さんは対話することを
とても大切にされている方だということ。
みんなが今日感じたことをシェアしあい、それについてまた話し合い、
何かを作る・生み出す以前の、思考をより深める意義深い時間となりました。

これから先、人生のいろんなステージにおいて「自分が何者か」と対峙するシーンがあると思いますが、
「自分がいいと思うもの」と出会い、共有する経験をたくさん積み重ねていく中で
「自分らしさ」というものをより強固にし、ゆるぎない私とであう。

今日の講座が、そんなきっかけになっていれば、うれしいです。