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2023/11/05

【アートスクール】フォトレポート『土から始まる物語』 柳田大地 / 農家(2023.11.4)

「土と共に生きる」

この日は、農家の柳田大地さんのSOU FARMにお邪魔をして、畑を満喫しました。
土は生き物が育み、土が生き物を育んでいます。
柳田さんの畑は、耕さず、肥料を与えず、農薬を使わず。
そんな畑の姿を、1日を通して体験しました。
その講座中、柳田さんが口にしていたのが、先ほどの言葉です。

まずは、畑の紹介を兼ねて、探索。
畑の中には、ニホンミツバチの巣箱が。巣箱に飼っているのではなく、ミツバチが選んでそこで生きている。この畑には野菜たちをはじめ、それぞれの生き物がお互いを邪魔せず、生きています。

探索の間に、羽釜と窯を使ってお昼の準備が進んでいます。
この日のお昼は畑で採れた野菜と、鶏肉料理。この鶏肉も、近所の養鶏場から譲っていただい経産鳥、卵を産めなくなった鳥のもの。卵を産めなくなった鳥の肉は硬くて販売には適さないと処分に回ってしまうそう。日々の食生活の中にも、このような問題が存在しているのです。

料理の完成を待つ間は、畑の一角にいるカブトムシの幼虫を見たり、お昼に食べる海老芋を畑で収穫。育っている野菜たちだけでなく、さまざまな生き物が共生する畑。一見無秩序に見える畑にいろいろな世界があるのです。海老芋収穫の際は、やさしく土から掘り出し、掘り出した後は土をていねいに元に戻していく。いつでも、土に、畑にやさしく。収穫した海老芋はきれいに洗って、調理を待ちます。

少し余った時間は、各自畑で自由時間。ハンモックで遊んだり、虫を探したり。バッタが見つかれば、アマガエルも見つかって。いろいろな生き物が過ごす畑は、人にもやさしいこと伝わったかな。

遊んでいる間にお昼ご飯も完成!畑で採れた野菜と玄米、そして鶏肉のローストをいただきました。
歯応えのある鶏肉に苦戦しつつ、みんなで食べるお昼は美味しかったです。

お昼ご飯の後は、畑の土を使って土器、小物作り。材料となる畑の土はスコップで掘り出すのも一苦労。こどもたちだけでは、掘り出すことができません。掘り出した土を制作用に小さくつぶしていくのも、手ではとても無理。石を使ったり、足で踏んでみたり。
「こんなに固い土の中に、野菜が育っているの?」
でも、水を混ぜていくと次第に粘土のように。粘土質になったら、みんなで作品作り。器を作ったり、埴輪を作ったり。中には、ヘビやメガネを作る子も。屋外の作業が心地いいのか、何人かの小さな作家さんはリラックスして制作に励みました。作品は、後日野焼きしていただき、お送りいただくことになりました。

気づけば、夕方近く。たっぷり堪能した畑体験の最後はさつま芋掘りをしました。柳田さんのさつま芋の見事な育ちっぷりに、こどもたちも掘り出すのは一苦労でしたが、一人で頑張ったり、みんなで協力して、あっという間に収穫完了。掘り出したさつま芋はそれぞれお土産にいただきました。

1日の最後に柳田さんからは、人間の食は、土に生かされ、支えられていることのお話。
人も一つの生き物として、野菜たちや昆虫、小さな生き物などあらゆる生き物と一緒に生きていく。誰もが必要とされる世界は理想ではあるけれど、実現するのは難しい。でも、柳田さんの畑にはそんな世界が存在しました。どれもが必要で、どれをも邪魔しない畑。土のこと、共に生きていくこと、今日参加してくれたみんなが、これらを自分なりに感じてくれていたら、嬉しいです。

柳田さん、本日は楽しくて、驚いて、貴重な体験をありがとうございました。