NEWSおしらせ

2023/08/13

【アートスクール】フォトレポート『美術鑑賞体験ワークショップ「美術館に行く前に…」』 白鳥建二 / 全盲の美術鑑賞者(2023.08.13)

美術鑑賞って、どう行うものなんだろう?
作品の鑑賞方法を体験してみましょう。

そんな説明から、今日のアートスクールは始まりました。
今日の先生は、全盲の美術鑑賞者白鳥建二さんです。

肩書きにある通り、白鳥さんは子どもの頃から目が見えません。それでも、これまで多くの美術館を訪れ、多くの作品を鑑賞してきました。それはどのように行ってきたのでしょうか。

あくまでも、自分が行う鑑賞方法と前置きした上で、ご自身の鑑賞方法を説明してくださいました。
・作品を前にして、自分が感じた印象を言葉にしてみる。
・色のこと、描かれているもの、大きさ、作品を見て想像すること、なんでも語ってOK。
・ただし、人の意見を最後まで聞く。

まずは、大人達が見本を行います。
一つの作品を前に、感じたことを言葉にしていく、人から出た意見を聞く、また言葉にしてみる、そんな積み重ねをしていくと、目の前の作品に、最初見た時には感じられなかった奥行きが出てきました。自分だけでは感じることができなかった感想を取り入れることで、様々な受け取り方が出てくるようです。

それでは、さっそく3つのグループに分かれて鑑賞スタート!
まずは、人物画。が、見本を見たものの、まだ理解していないのかな?みんなの固さも取れていないようで、ぽつぽつ感想は出るものの、単発で終わっている様子。それでも、時間が経つとグループの年上の子が感想をまとめたり、新たな感想を言ったりと、何やら進んでいる様子も見受けられるようになってきました。

白鳥さんの掛け声で、鑑賞終了。
終わった後は、感想を振り返ることも、シェアすることも行いません。
これも白鳥流。あくまでも、感じたままを素直に言葉にして欲しいという白鳥さんの考えなのです。

次はグループを変えて、作品を風景画にして鑑賞スタート。
すると、鑑賞方法に慣れてきたのか、感想がポンポン飛び出てきます。
そこがどんな場所で、これは誰で、これはなぜ描かれたのか、自由な感想が飛び出してきます。
「ここには巨人の体が横たわっている」
「船があるけど、この鉄骨のせいで進めるわけがない」
「この人はここで隠れている?」「でも、こんな姿勢で?」
「これはホワイトハウスだけど、これはエッフェル塔?」「じゃ、ここはどこ?」
1回目より、たくさんの見方が出るようになりました。

3回目もグループを変えて、今度は抽象画でスタート。
何が描かれているのか、そもそもそれが何なのか、誰もわからないのですが、感想はポンポン飛び交います。
「これはカバンを真上から見たもの」「ここに水筒を入れて、ここには・・・」
「これはデジタル表示では?」「あ!そうだ!「いや、でもこれ向きが違う」
「これはどうやって描いたんだろう?」
「あーもう、豚の鼻にしか見えない!」

終わってみれば、3回目の抽象画が一番楽しそうで、盛り上がっていました。
そう、作品を鑑賞するスタイルは自由なものなのです。人それぞれあっていい。
こうすべき、このように見なさい、そんなルールはないのです。
それは白鳥さんからみんなへのメッセージでもありました。
今日、参加してくれたみんなにそのことが伝わっていたら本当に嬉しいです。

最後は、白鳥さんが日常の様子を説明してくださいました。
時間の確認、点字の打ち方、カレンダーでのスケジュール確認とメールの確認、打ち方。
そのどれもが、初めて見ることでみんなも興味津々。
鑑賞方法も含めて、白鳥さんへの質問タイムでは、これまでで印象に残った作品や、鑑賞方法についての質問に加えて、お金の払い方、移動する際に困ることなどの質問も出ていました。

最後まで軽やかに、誰よりも自由に楽しまれていた白鳥さんの言動が印象的でした。
白鳥建二さん、本日は有意義な時間を本当にありがとうございました!