2025/09/27
【アートスクール】フォトレポート『本のデザイン第一歩 ー紙にさわる、本をつくるー』米山菜津子 / グラフィック・エディトリアルデザイナー(2025.09.27)
本日のアートスクールは、デザイナーの米山菜津子さんによる「本のデザイン第一歩」です。
デザインのお仕事はいろいろありますが、米山さんが手がけるのは、
主にグラフィックやエディトリアルといった平面のデザイン。
本のや図録のお仕事も多く、本がどうやって作られるのか、デザインの面白さを知ってもらう講座です。
まずは簡単な自己紹介。
好きな本、よく読む本を聞いてみたら、「米山さんが装丁した写真集が好き!」という参加者も。
いままでは本の「なかみ=本文、内容」しか気にしていなかった子もいるかもしれません。
今日は本の「そとみ=表紙、デザイン」にも注目してみましょう。
フラットに並んでいる文字列はとても読みにくいけれど、本の形になるとなぜか読みやすい。
そのために、余白の量、文字数の設計、タイトルの入れ方など、
デザインする人は、さまざまな工夫をしていることを、米山さんが説明します。
ここで、米山さんからの質問。
「本のよいところはなんでしょう?」
「達成感がある!」
「なるほど、本は始まりと終わりがあるからね」
「文章から想像が膨らむ」
「本ってひとりで読むから頭のなかが広がっていくのかな」
「本の匂いが好き」
「紙とインクの匂いだね。海外の本だとちょっと変わった匂いだったりする」
次々と鋭い意見が出てきます。
本について考えてみたところで、実際に本を作りながらデザインの第一歩を踏み出してみましょう。
「今日は『紙あそび』で作った物から想像して、本を作ります」
A4サイズに切りそろえられた、たくさんの色と質感の紙から3枚ずつ選び、
それぞれを6つのパーツに破ります。
破ったパーツを箱に回収し、各自がくじ引きのように箱から引いてパーツを6つ選んでいきます。
さて、引いたパーツをよく観察すると、何に見えてくるでしょうか……?
これはブルーノ・ムナーリのメソッドを応用した方法で、
自分で何かを作るために紙を破るのではなく、
誰かが作って手元に届いたパーツから発想するという制約が今日のポイント。
たとえば、2つのパーツをつないで川の流れと滝に見立て、
水色の繊細な紙はくしゃくしゃにして「海」を表現し、
白系の紙の質感の違いに注目して「雪だるま」に。
いくつかのパーツを見立てたら、本文用の紙を配り、8ページ分の構成を作っていきます。
物語形式にしても、パーツの色や大きさで遊んでみても、どんな本でもかまいません。
他の紙やパーツを足したり、文字を入れたり、背景を描き込んだりして完成させます。
表裏で違う色の紙を半透明のグラシン紙と重ねて両面を見せたり、
パーツをいくつもの動物に見立てた動物園を舞台に、赤い紙を炎に見立てて火事の物語を作ったり、
白い三角のパーツに黒い薄紙を重ねた「おにぎり」を、具を変えていくつも生み出しメニューブック風に。
それぞれに豊かな発想が発揮された、面白い本が誕生しました。
最後に、完成した中身に合わせた表紙用の紙をそれぞれ選んで、タイトルをつけます。
タイトルと作者名は、米山さんがデザインしたフォーマットのシールにプリントして、
表紙に貼って完成です。
こうすると、中身はバラエティ豊かですが、
表紙のデザインに統一性が出るので、シリーズものの本のようになりました。
自由な工作とは少し違ったデザインの世界。
自由につくる部分と、ルールを決めてつくる部分、両方をバランスよく考えるのが
「デザインの第一歩」です。
手を動かすのが好きな子が集まった今日のアートスクール、
これから何かを作るときに、「デザイン」を意識すると、また違った楽しさがありますよ。














