2025/02/22
【アートスクール】フォトレポート『GIVE BOX:小さなまちへの「おすそわけ」をつくろう』 石川由佳子(2025.2.22)
住んでいる「家」と「まち」の境界ってどこにあるんでしょう。
自分の住んでいる「家」の中では自由にできる行動も
自分の住んでいる「まち」では家の中と同じように、
ひなたぼっこしたり、家の前でお茶をしたり
自由に街を楽しむことって、少し憚られてしまいますよね。
本日は、都市の持つ可能性をさまざまに広げる企画を行ってらっしゃる
アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナーの石川由佳子さんをお迎えし、
住んでる「まち」との接点を作るきっかけづくりとして
昔大切にしていたものを、まちの誰かに手渡すための装置「GIVE BOX」を
みんなで作るワークショップを開催しました。
小学生から高校生までの6名の参加者が
まずは持ってきた「おすそわけ」したいモノを紹介します。
小さな頃に読んでた絵本を持ってくる子がほとんどでしたが、
中には国語辞典や、昔作ったフォトフレーム、最近使ってないけん玉など持ってくる子も。
本のセレクトもみな素敵でした。
使わなくなったモノを、誰かにおすそ分けして、それを誰かが受け取る。
家族間や友人同士ではあることでも、
知らない誰かに届けるには、外やまちへ一歩出ないとできないこと。
自分の大切にしてたものを、
手にとってもらえるようなGIVE BOXを作り、
そこにモノを飾ってまちに繰り出し、お届けすることで、
住んでる街や人との接点がうまれます。
そのために、どんなデザインにしたらいいのかみんなで考えながら
作っていきました。
事前に用意した板材やひも、端切れといった材料のほか、
せっかくなので近隣に落ちている自然物も拾いに出かけました。
DTCの目の前にある「ログロード代官山」にて
探検しながら落ちている枝や枯れ葉、実・石などを拾い集めたら、さっそくGIVE BOXを作っていきます。
石川さんはもちろん
特に構造の部分は、サポートにお越しくださった小野さんもアドバイスと制作くださり
みんなが作りたいオリジナリティあふれるGIVE BOXが出来上がっていきました。
お弁当売りのような形にした高校生や、
そっと絵本が立てかけられる構造にした小学生、
自分のすきなお花をモチーフに絵本を飾った小学生や
拾い集めた葉っぱを敷き詰めて、巣のようなデザインにする小学生、
もってきたおすそわけ品を拡張させて、自分の世界観いっぱいにコラージュした中学生など
どれも素敵なGIVE BOXの完成です。
早速それをもって、DTCの駐車場で前を通る人に声をかけますが
なかなか立ち止まってくれません。、
そこで再び、「ログロード代官山」にお邪魔して
「おすそわけやってます!」とアピールして練り歩いていると
ふと立ち寄ってくださった、オーストラリアからの観光客のみなさん。
石川さんがプロジェクトの説明と
みんなのGIVE BOXについて英語で案内してくださると、とても興味深くみてくださって
なんと、日本語勉強中の方が国語辞典を、
親戚の子にプレゼントする方が絵本を、それぞれもらってくださることに!
作ったGIVE BOXを使って外に繰り出し、
自分の持っていたものが、必要とする誰かに受け取ってもらえた達成感と
まさかの所有物が海を渡ることになるなんて想像もしなかった結果に、みんな大興奮!
一方で、外国の方は関心を持って見てくださる方が多かったものの
日本人で足を止めてくださる方がおらず、少し残念な気持ちにも。
寒さもあり、ほんの一瞬だけ出現した「おすそわけプロジェクト」でしたが、
自分の家の前でもぜひやってみたい!と、作ったGIVE BOXを持ち帰る子がたくさんいたので
もしかしたら、あなたのまちにもGIVE BOXが現れるかもしれません。
与えてもらった分、また誰かに与える。
そんなやさしい循環と、まちとのつながりがうまれるきっかけになりますように。