2025/01/18
【アートスクール】フォトレポート『食材のパレットを広げて『めでたい寿司』を押しましょう!』 fuu fuu fuu・文香 / テキスタイル・押し寿司デザイナー(2025.1.18)
もともとメーカーでテキスタイルデザイナーとして活躍されていた
fuu fuu fuu・文香さん。
テキスタイルデザインとは、布製品一般のデザインのこと。
「布って一体何からできているか知ってるかな?」文香さんのそんな問いかけからはじまりました。
「布はもともと糸から。糸はもともと繊維からできています。」
ものづくりの現場にいる中で
このままずっと何かをずっと作り続けていく「大量生産」の状況にある時疑問を持ち、
たどり着いたのが、「押し寿司」。
食材を繊維に見立て、食べられる布としてテキスタイルデザインの感覚で押し寿司を作ったら、
食べてくれる人がいる限り、作っても、食べて、なくなる。
作れる分を作り、それを誰かに食べてもらうというヘルシーな循環の中でものづくりがしたいと思い、
食材の色や形を生かした押し寿司を、作られているんだそう。
まずは、使う食材の説明を聞いて、スナップエンドウのさや取りをみんなで行いました。
初めてさや取りをしたという参加者のみんな。なかなかうまくいかずに、苦戦する子も。
さやをとったら、今度は茹でる工程です。
茹で時間はとても繊細。少しの差で、硬さや色や味が変わってくるので
慎重に見守りながら茹でていきます。
“ひとつひとつの食材に、こんなに手間ひまをかけるんですね”と
普段ほとんど料理をしないという参加者の高校生が、驚いていました。
文香さんが持ってきてくださった美しいデザイン画を見て、
食材の使い方、断面の形、レイアウトの仕方を学びながら、自分のデザイン画作業に入ります。
ご用意くださったさまざまな食材の形や色をよく観察して
デザインに落とし込み、
具象の子も、抽象の子もさまざま。
スナップエンドウは開くとまた違う形になったり、
パプリカもカットの仕方でいろんな形になります。
それらを組み合わせ、6種類の個性的なデザインができあがりました!
炊き上がった黒米をすし酢と混ぜる人、それを団扇であおぐ人に分かれ、
みんなで協力し酢飯ができあがったところで、ついに「押し」の時間です。
型に酢飯を敷き詰めたら、
なんと、いろんな食材の味をうまくまとめてくれるという「クリームチーズ」を隠し味に乗せるんだそう。
その上にまたご飯を敷き詰め、そこに絵を描くように色とりどりの食材を乗せて
最後にまた上からぎゅっと押し、型から外して、完成。自然と拍手がわき起こりました!
バットをパレットに、食材を絵の具に見立て、
それぞれデザイン画の通りに食材を選んで、ご飯の上にレイアウトしていきます。
レモンのスライスを花びらに、くるみを種に見立て、ひまわりの花を食材で描く子や
ロマネスコを木に見立てて埋めてみたり
文香さんもやったことがない自由な発想で、食材でデザインするこどもたち。
そうして全員分の押し寿司が、無事にできあがりました。
今回、食材の形や色から作っていくので
食べてみるまで、最終的にどんな味になるのかわからないのですが
実際に食べたところ「おいしい!」とみんなびっくりしていました。
デザイン画通りにうまく再現できなかった子は
思い通りにいかないというところが、おもしろかったですと話してくれたり
感じ方もそれぞれ。
食材を観察して、自由な発想から生まれる、今回のデザイン押し寿司作り。
日常を観察する中で生まれる、新しくて楽しいクリエイティブな体験が
今後も、いろんなシーンで生かされると嬉しいです。