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2025/09/15

【アートスクール】フォトレポート『美味しいってなんだろう』 芳賀 龍 / シェフ(2025.09.14)

「美味しい」ってなんだろう。

本日は、シェフの芳賀龍さんをお迎えし、誰かの考えたレシピ通りに料理を作るのではなく、
自分の知識と感覚を使って、「美味しさを考えて作る」アートスクールを行いました。

実は3年前にも同じ講座をしてくださった芳賀さん。前回のワークショップ後、しばらくデンマークのレストランで働かれ、最近日本へ帰国されました。

季節の果物や香菜などの食材と、
芳賀さんが作ってきてくださった多様なオイル、シロップ、クリームに加え
コンブチャ、乳酸醗酵させた甘酒、ベビーマツボックリのシロップ漬け、モミの木の新芽など
海外にいらしたからこそ既成概念にとらわれない材料がさまざまに並び、
こどもたちの好奇心を刺激します。

「今日は、おいしさの答えを見つけるというより、
みなさんが感覚を開いて、物差しのひとつに出会う時間にしてほしいです」と芳賀さん。

材料となるすべての食材の説明をしてくださったところで、早速参加者一人一皿作ってみることに。

最初は少し緊張し、食材の前でどうしていいかわからず戸惑う様子。

「気になる食材があったらなんでも聞いてね、カットしたかったら声かけてね、ブレンダーしたかったら呼んでね」
緊張をほぐすように、芳賀さんが優しくこどもたちに声をかけてくださると
お皿を手に、どんな組み合わせにしようか、どんな料理をつくろうか、みんな少しずつ食材に手が伸びていきました。

1皿目が完成したら芳賀さんがひとりずつ参加者の創作意図を聞いたり、味を見ながらテーブルを回られました。

全員分のチェックが終わったところで、
今度は参加者全体に向けて、ひとりひとりの料理にフィードバックをしてくださいました。

果物の皮を全て剥いて使っていた一皿に対しては、
「皮が全部剥いてあって、すごく食べやすかった。
“果物は皮を剥くのが面倒、だから剥く”という、自分の経験や記憶からきてるよね。
それはすごく大切な視点で、食べやすいように工夫することも、記憶を頼ることも美味しさにつながるね」との講評。

一方で、あえて皮を残したまま、いちじくの断面の美しさを生かした一皿には、
素材の美しさをうまく使っていた点を挙げ、
皮を剥く/剥かないに正解はなく
剥くと、果物のみずみずしさが、剥かないと、ラスティック(素朴さ)な良さが
それぞれあることを、教えてくださいました。

料理は、自分の感情を食べられる形で表現できる唯一のツールで、特に盛り付けには、作る人の意図が色濃く反映されるそう。
みずみずしさを伝えたいのか、食べやすさを表現したいのか、飾らない造形美を見せたいのか、どんな”美味しさ”や気持ちを伝えたいかで、食材の切り方や食感、盛り付け方が変わるのも納得です。

梨と桃とアボカドがレイヤーになった一皿を作った参加者は
もともと、梨と桃が美味しいことを知ってたところにアボカドを組み合わせたらどうなるか挑戦してみたそう。
「美味しい組み合わせを知っていたこともすごいことだし、お皿の上で、知らないところへ一歩踏み出して挑戦したところも、素晴らしい!」と、お褒めの言葉もありました。

全員の講評が終わったところで
芳賀さんによるデモンストレーションが始まりました。
参加者の目の前で、まるで音楽を奏でるように
食材とセッションしながら、次々と料理を完成させていく芳賀さん。そんな自由な発想のお料理を目の当たりにし、各自もらったアドバイスを受けて最後に参加者全員、もう1皿作ってみることに。

はじめの1皿とはまた違う食材とお皿を選んで、思い浮かぶアイデアや組み合わせを形に
ものすごいスピードで作る子もいれば、あえてじっくり作る子も。

芳賀さんからのアドバイスをすぐに吸収し、咀嚼し、もう一度美味しさを考えてつくった2皿目は、どの子もいろんなチャレンジや工夫が見え、この短時間でここまで変化があるとは
とても驚かされました。

料理は、記憶や経験、文化、住んでいる地域で全く異なり、食材に対していろんな見方があることを教えてくれます。
つまり、美味しさを知るというのは、世界を知るということなんだと芳賀さんはおっしゃいます。

芳賀さんの物事の捉え方や鋭い視点、感性によってひらかれた新しい感覚と物差しを持って、今後もいろんな世界と出会い、若い世代のみなさんがこれから先も「美味しさ」を考えて追求していくきっかけになれば、うれしいです。