2024/10/07
【アートスクール】フォトレポート『映画を言葉にしてみよう』 上條葉月 / 字幕翻訳・上映企画(2024.10.05)
映画を見たあと、みなさんは家族や友達、はたまた自分自身とどんな会話をしていますか?
映像を見て、ワクワクした気持ちや体験について、なぜワクワクしたのかを言葉にして、人と共有できたら映画を見る楽しみはもっと広がります。
今回のワークショップでは、みんなで映画を見て、「映画ノート」を作り、
どんな映画だったか参加者で話したり共有して映画を言葉にしてみました。
参加するメンバーで自己紹介をし、さっそく映画を見ていきます。
今日見る映画は、1933年フランスで製作された ジャン・ウィゴ監督の『新学期 操行ゼロ』
44分間の白黒の映画をじっくりと見ていきます。
見終わった直後、感想をぽろぽろと話しつつ、上條さんが用意してくださった「映画ノート」に見た映画について書き込んでいきます。
まずは、あらすじをまとめてみます
・誰のお話?
・はじまりはどんな状況?
・舞台はどこ?
・どんなキャラクターが出てくる?
・どんなことが起こる?
ここで上條さんが教えてくれたポイントは、結末を書かないこと。
何が起こって、結果どうなってしまうのか。見る前にわかってしまったら、見たい気持ちがなくなってしまいますよね。見てみたい!と気持ちをそそられるような あらすじを考えてみます。
「学校で先生と生徒が戦う映画」
「生徒が先生に反抗するはなし」
「小さい校長/悪い生徒/先生」
「学生が寮のシステム、厳しい校則に対して、静かな戦いの計画を練っていた、、、。 」
みんな結末は明かさず、どんな映画なのか
また、どんな人に見て欲しい映画なのかを考えながら言語化していきます。
その後もそれぞれ黙々と映画ノートに書き込んでいき、書き終えたらみんなで机を囲み、書いたことを共有してみました。
この映画にキャッチコピーをつけるとしたら?
惹きつけられる一言を考えてみます。最近公開されていた映画のポスターに書かれているキャッチコピーを参考に、『新学期 操行ゼロ』のキャッチコピーも考えてみました。
「生徒たちの革命が今始まる。」
「Never thought about going against authority?(権威に逆らいたいと思ったことはありませんか?)」
「きびしすぎる先生 VS 悪い生徒!」
みんなとてもいいキャッチコピーをつけてくれました!
そして、印象に残ったシーンについて、上條さんが用意してくださったシーンのキャプチャー画像を使ったり、自分で絵を描いたりしてみんなへ説明してみます。
スローモーションを効果的に使った枕や布団の中の綿毛が舞い散るシーンを、「桜が散っている様子を思わせた」という子や、「黒板に書いていた絵がアニメーションになっていくシーンに驚いた」と映画の中での演出効果について触れたり、「言葉やセリフよりも、人間の動きが中心で多くの人間が一度のショットで動く」と、寄りのショットやカット割りが多い今の映画との違いを感じる高校生もいました。
サイレント映画だった時代から、1930年以降トーキーとなり音楽や音声が映像とともに流せるようになりました。
そのトーキーが始まってから3年後に『新学期 操行ゼロ』は製作されたということもあり、まだ映画の中で会話が少ないです。そう思うと、映画は誕生してからおよそ130年という短い間にものすごい速さで変化しています。
また、白黒映画自体初めて見たという小学生もいて、いつから映画はカラーになったのかという話をしたり、製作当時のフランスは、新しい、前衛的な映画を作る動きがあり今回の作品のような斬新な映画が生まれた話なども。
みんなで話しているうちに、上條さんから映画自体の歴史や流れを知る機会ともなりました。
最後は直接、子供たちから先生へ、この映画をどう思ったかを聞いてみたり、先生のおすすめの映画を聞いたり。
見た映画に限らず、さまざまな映画の話へと広がりました。
映画を見てじっくりみんなで話してみて、
映画の全てを理解しなくても「あのシーンよかった」「あのセリフよかった」「あそこの画面の構図がよかった」などそれぞれ感じたことを大事にしたいと思えました。そしてさらに自分の気づきを人に伝えることで、自分が気づかなかったことや新しい発見も得ることができました。
これからも色んな映画をみて、映画の話をしていくなかで、「昔あんな映画も見たなぁ」なんて思い出してくれたら嬉しいです。