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2024/07/07

【アートスクール】フォトレポート『わたしたちの「11歳」を物語にしてみよう』瀬尾夏美 / アーティスト・作家(2024.07.06)

アーティストの瀬尾夏美さんは、
「11歳」前後に体験したことがその人の価値観に大きな影響を与えると考え、
映像作家の小森はるかさんと、さまざまな世代の人々に「11歳」の記憶をたずねる
《11歳だったわたしは》という作品を制作しています。

本日のアートスクールは、《11歳だったわたしは》のDTC版です。
11歳未満の子も、どんな11歳になりたいか思いを馳せながら、
みんなの物語を作っていきましょう。

最初に、《11歳だったわたしは》の一部を上映しました。
90歳代の方の戦争の記憶は、こどもたちも驚きだったようで、
「100歳のひいおばあちゃんにも聞いてみたい!」という反応もありました。

「11歳」に限らず、瀬尾さんの作品の特徴は、ひとの話を聞くこと。
自分と他人が混ざることで自分が少し柔らかくなったり、
複数の語りを重ねてゆくことで浮かび上がるものがあります。

2部構成の今日は、前半でその手法を用います。
3人組で「話を聞く人」「話をする人」「メモをする人」となり、
交代しながらインタビューをしていきます。

テーマは「11歳の頃の思い出」「11歳になったらやりたいこと」。
その核心に触れるため、好きなもの、得意なもの、マイブームなど、
内容を自由に考えながら聞いていきます。

年齢の違う子たちでも、学校で起こったこと、好きになったものなどを話していると、
「そう、そういう年齢だよね!」と盛り上がっています。
理由も聞きながら、まとめられるように話を深めていきます。

瀬尾さん自身、こどもを対象としたワークショップは初めてとのこと。
初対面のこどもたちでもうまくできるのか心配でしたが、杞憂だったようです。

「メモをする人」が清書するにあたっては、
自分ではなく、話してくれた人の「一人称」で書くのがポイントです。
少し複雑な方法でしたが、必要な質問を追加しながらまとめていきます。
なんと今日が12歳の誕生日だという子もいました。
「つい最近の話なのに、意外と覚えていなかった」そうですが、
ずっと後になって思い出すのかもしれませんね。

清書したら全員で輪になって、話を聞いた相手になったつもりで、
ひとりずつ「私は……」「ぼくは……」と発表します。
ということは、その話をした本人が聞く側にいるということ。
「わー、そうじゃない〜」と、ちょっと恥ずかしそうな反応も。
不思議な感覚を体験してもらいました。

話をした人、話を聞いた人もそれぞれ感想を書き込み、
話ごとに3人分の言葉が集まったところで
全員分をまとめて「11歳の物語」の冊子にしました。

これで前半は終了。

リラックスしたところで、今度は「聞く人」「話す人」「録画する人」の3人になって、
インタビューを映像で記録します。

瀬尾さんが用意してくれた質問から2つを選びます。
「もしもあなたが亡くなってしまうとき、どんなふうに亡くなりたいと思いますか?」
「未来の人たちに伝えたいことはなんですか」
重たい質問もありましたが、こどもたちはすっかりインタビューに慣れた様子です。
さらに好きな質問を1つインタビューし、撮影も終了。

最後に保護者のみなさんをお招きし、上映会を開催しました。
ふだんとは違うこどもたちの言葉に聞き入ってくださいました。

今日は欠席された方がいらしたため、館長の宇賀村も参加者として加わりました。
「好きなゲームはなんですか」「11歳のころは、まだゲームがなかったんだよね」「え〜!」
と、ジェネレーションギャップを味わえるのも、インタビューの楽しいところ。
ご家族でも「11歳」という共通の話題を、ぜひ話してみてください。
時代を超えて共通する部分、違う部分を知ることで、
お互いをより大切に思うようになるかもしれません。