2024/04/29
【アートスクール】フォトレポート『普段食べているチキン、それってどうやってできているの?』 菅田悠介 / NPO法人MOTTAI代表理事(2024.04.28)
普段食べているチキン。
それってどうやってできているの?
スーパーで部位ごとに売ってる鶏肉
コンビニで気軽に安く食べられる唐揚げ
焼き鳥屋さんで食べる鶏の串焼きなど
身の回りで当たり前にある(と思っている)食べ物が、一体どこからきて、どうやってこの形になって、わたしたちはいただいているのでしょう。
今回ワークショップをしてくださったのは、小田原を拠点に活動するNPO MOTTAI主宰の菅田さんと、伊藤さん。フードロスを減らす取り組みをさまざまに展開されてらっしゃいます。
朝早くDTCに集合し、バスに乗っていざ小田原へ。
さわやかな晴天で天候にも恵まれ、こどもたちのボルテージも最高潮に!
海の近くを通り、みんな海にいきたい!釣りをしたい!と今日の目的を忘れそうになるシーンも笑。
シェアハウスに向かう道中で、MOTTAIさんが普段お世話になっている
ご近所の方と偶然ばったりお会いし、無農薬で育てている甘夏がたくさんとれ、せっかくこどもたちが代官山から遊びにきてくれてるなら!と2ケース届けてくださるラッキーな出来事もありました。
まずは、MOTTAIの拠点であるシェアハウスにて
ご用意いただいたクイズを通し、知ってるようで実は知らないニワトリについて学びます。
柔らかくておいしい”若鶏”が、実はまだ生後1〜2ヶ月であること。黄身の色は飼料で決まるので、パプリカなどわざと黄色いエサをやることがあること。卵は本来1ヶ月に1個しか産まなかったのが、品種改良され今は一日1個産むようになったことなど、鶏たちがヒトの都合で改良され食べられている裏話を色々伺いました。解体の手順をしっかり教わったのち、いざ養鶏場へ!
お邪魔した養鶏場では、ニワトリになるべくストレスのかけないよう平飼いされていました。
ニワトリたちの出迎えに、こどもたちも自然と”コココ”と鳴いてみたり、じっと見つめて交流していました。
大量生産向けの養鶏場だと、24時間満員電車で過ごしてるレベルに狭いゲージで囲われてるそうで、ヒトの都合でニワトリにいかに負荷をかけているかを教わります。
ヒヨコエリアのヒヨコもすでに大きく、いわゆる”若鶏”といわれる月齢のヒヨコたちが元気に走り回っていました。
かわいい!と一緒に走り回る参加者もいれば、臭いがだめで中に入れない子もいたり。こどもたちの反応もそれぞれ。
今回は、大人の経産鶏を使ってワークショップを行いました。まずはゲージの中に入り、菅田さんが鶏の捕まえ方からレクチャーくださいます。
後ろからそっと追い込んで近づいて捕まえるのですが、どのニワトリも特に暴れることなく、観念しているのか、静かにこどもたちに捕らわれていきました。
さて、いよいよ解体作業の始まりです。
※ここからは具体的な内容が書かれますので、ご注意ください。
捕まえたニワトリの足と羽根をしっかり押さえ、首を掴んで何度かねじります。おとなしくなったところで首元にナイフを入れ切り落とし、逆さまにして血を抜きます。毛穴を開かせて羽根をむしりやすくするため、血抜きした鶏をお湯に浸して蒸し、毛穴全開になったところで、羽根を丁寧に抜いていきました。いわゆる丸鶏状態になったら、産毛をバーナーで焼いてひとまず前半の作業が終了。
菅田さんがお手本で見せてくださったとき
もっと”怖い、やだ!”といった反応が見られるのかと想像していたのですが、ほとんどの子が静かに見守り、各チームそれまで大切に腕に抱いてた鶏たちを、順番が来たら特にたじろぐこともなく絞めていく、たくましい様子に大人の方が驚かされました。
次は部位ごとに分けていく作業に入ります。
グループで協力しながら、もも、手羽、むね、ささみ、内臓類を順番に解体していきます。
筋や皮をナイフできったり、内臓は優しく手で取り出したり、なかなか時間と根気のいる作業でしたが、誰もギブアップすることなく最後まで取り組みました。
自分たちが絞めた鶏への愛着なのか、食べ物への情熱なのか、内臓を取り除いた”鶏ガラ”を持ち帰るツワモノも何人かいました。
最後に菅田さんがデモで解体くださった
捌き立てのお肉を、その場で伊藤さんが焼いてくださり、みんなでいただきました。
“食べ物にするまで大変だったけど、自分で解体したからこそ、硬くてもおいしいと思った”
“背景を知り、美味しく食べられるようになった気がする”
こうしたこどもたちのピュアな反応や感想も素晴らしく、こどもたちの身体と心にしっかりとこの体験とニワトリの命が、知となり肉となっているように思いました。
生きている”ニワトリ=生き物”が、
自分たちの手で”鶏肉=食べ物”へと変化し、
最後にその命をいただけるという本当に貴重な体験。
いろんな人の手を介してわたしたちへ届けられる食べ物がいかに有難いことなのかを知り
また、これまで当たり前と思っていたことが当たり前でないことだと気づける視点を多く学ぶことができました。
この体験が、人にとっても生き物にとっても地球にとってもヘルシーな社会を作る
何か一つのきっかけとなりますように。
MOTTAIのみなさん、参加されたみなさん、本当にありがとうございました。