NEWSおしらせ

2023/11/25

【アートスクール】フォトレポート『インタビューから作ろう!”知らない人”の人生ZINE』 筒井健介 / 自分史 ドキュメンタリー作家・研究者(2023.11.25)

知らない人の人生についていろいろな角度でインタビューし、
それをZINEにまとめてみる。

実は、有名人でない知らない人の人生も、
話を聞くと、いろんなエピソードが詰まっていて、1冊の本にできてしまうのです。

今日、インタビューを受けてくださったのは、杉原眞理さん。
多摩美卒業後、グラフィックデザイナーとして就職し、その後、独立。
一線で活躍されつつ
今は地域の小学校の給食作りや図書館司書をするなど幅広く活動してらっしゃいます。

まずは全体の自己紹介で、
全員が名前と年齢、そして将来なりたいものについてを話しました。

参加者の夢は、みなはっきりとした職業はないけれど、
「何かつくるひと」という共通項がありました。

その流れで、眞理さんの自己紹介が始まりました。

「今日は、偶然ものづくりに興味のある人ばかりで、うれしい!わたしもデザイナーをずっとやってきたから。
人生でまだやりたいことはたくさんあるけど、ただやりたいことと、それをやれるタイミングというものは
決まっていると思っています。
今、わたしは絵本作家になれたらいいなと思っていて、それは64歳になった今できることだから。
足腰が痛くなっても、絵本作家なら座りながら、いろんな場所に空想ででかけたり、何にでもなれるでしょ?
感受性はいくつになっても育てたいと思っています。」

クリエイティブなことに興味のあるみんな、一気に眞理さんの人生に興味が湧いてきました。

本日の講師は、自分史 ドキュメンタリー作家・研究者をされている筒井健介さん。
普段は高齢社会について研究し、高齢者たちの自分史を作成されてらっしゃいます。
眞理さんとは地域の活動で知り合われたとのことで、
筒井さん自身も眞理さんのことはまだよく知らない状態なので
いろんな側面から話を聞けるよう、あらかじめ用意くださった冊子に沿って、
ポイントポイントで質問の流れを作ってくださいました。

初めは、何をどう聞けばいいんだろう?と戸惑いながらも、
「美術大に行ったのに、なぜテニス部に入ったのですか?」
「旦那さんとは職場で出会ったんですか?」
「商業デザイナーになったのに、なぜ今絵本作家になりたいんですか?」
「なぜ、武蔵美でなく、多摩美にしたんですか?」

だんだん思いもよらない質問が飛び交う様になり、
それらひとつひとつに、眞理さんはNGなしで答えてくださいました。

「ある意味、他人だからこそ話せる話もあると思ってて」
と言いながら、お子さんのエピソードなどもお話しくださったり
学生時代、仕事やプライベート、本当にいろんなお話を聞くことができました。

最後に、インタビューを通して
はじめの印象と変わったこと・変わらなかったこと、眞理さんから感じたこと
そして眞理さんの人生にサブタイトルをつけるとしたら?
という課題が出て、参加者それぞれの視点で眞理さんの人生のコピーが付けられていきました。

“自分本位で生きてます”
初めはおとなしそうでディフェンス型と思ったけど、
直感型で「今」を重要視してて、環境を乗りこなすのが上手な人だと思った。

”進む、この人生”
自分の人生を俯瞰的に生きてて、自分を一番理解していて、一貫性のある人だと思った。
初めは優しそうと思ったけど、お話を聞いて、芯のある強い人だと思った。
チャレンジ精神のある人だなと感じたので、まるで自分が好きなドラマの主人公のようだと思った。

”全方向に自分の輪郭を形作る”
制約があるからこそ、クリエイティブを発揮できるという言葉が印象的でした。
他者とのつながりがあるからこそ、余計にその境目を感じるんだと思いました。

などなど、
たった1時間ちょっとのインタビューの中で
参加者がきちんと自分の視点や思考で眞理さんをとらえ、表現していることに
筒井さんはじめ、スタッフたちも大変驚かされましたし、
眞理さんご自身も、新しい気づきが多いですとおっしゃっていました。

またある参加者からは
今ちょうど社会と選択肢の壁にあたり将来について悩んでいる最中だったので、
知らない人の人生のお話を聞いて、いろんな選択肢があっていいんだ!と
思えました!とあたたかい感想を伝えてくれるシーンもありました。

全く知らない人のこれまでのお話しを聞き、人生の幅や選択肢を広げ、
眞理さんのように、軽やかでパワフルにみんなもこれからの人生を
豊かに生きてほしいなと思います。