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2026/07/12

【アートスクール】フォトレポート『シシ踊り体験ワークショップ 郷土芸能を全身で学ぶ』富川岳 / 遠野巡灯篭木共同プロデューサー(2026.7.12)

岩手県遠野に400年続く
「シシ踊り」という郷土芸能があります。

もともと狩猟した鹿(シシ)を供養するために始まったとされ
五穀豊穣を祈ったり、お盆に人の供養のためにも踊られるなど、さまざまな役割を包括する「シシ踊り」。

本日は、岩手より張山と板澤、2組の団体をお迎えし、
シシ踊りワークショップを開催していただきました。

まずは、「シシ踊り」のはじまりや、シシの装束についてなど
遠野巡灯篭木共同プロデューサーで踊り手でもある富川岳さんが、
分かりやすく説明してくださいました。

富川さんは、もともと遠野への移住者で、現地でネイティブの踊り手が減っていることもあり
移住した3年後から、シシ踊りをはじめたそう。

シシ踊りのシシは、「鹿」でもあり、「獅子」でもある。
いつしか人々のいろんな祈りが込められるようになった「シシ踊り」の”シシ”は
神格化され「獅子」の意味も込められるようになったとか。

踊りのルーツや込められている意味には諸説あり、
団体ごとにも踊り手ごとにも異なる解釈があるようで、
その解釈の多様さに、郷土芸能のおおらかさを感じます。

特に目をひくのは、木彫りの獅子頭につけられた紋様と布の紋様。
これは団体のマークではなく、踊る場として普段使う「神社」のマークなんだそう。
また、白くふさふさした毛のようなものは、ヤマナラシの樹皮を削った「かんな」と呼ばれるもの。
さらにヤマドリ羽根をつけた「腰刺し」など、装束をかさねるごとに
鹿と獣と神のあいだのような曖昧な存在になっていきます。

では早速踊りを披露していただきます。
まずは、板澤チームから。
笛や太鼓のリズムに合わせて、前幕をダイナミックに捌きながら、
見栄を切るような緩急のある動きでシシは踊り、「太刀」と呼ばれる二人の踊り手が
独特な間合いで、シシを諌めていきます。
こんな間近でシシ踊りを見れて、参加者たちは興味津々に舞台を見つめます。

踊りが終わり富川さんがどうだったか尋ねると
一番前で見ていた小学生たちはみな「かっこよかった」と、素直な感想を教えてくれました。

では、実際に踊りを教わっていきます。
舞台上の踊り手さんを見ながら、足や手の動きを真似をして踊りますが
簡単なようでなかなか難しいこの踊り。マニュアルも何もないしし踊りは、これまでずっと見様見真似で受け継がれてきたとのこと。
難しくもみんなとても楽しそうで、和やかな雰囲気で講座は進みます。

10キロ以上ある獅子頭をつけたまま踊り続ける踊り手さんは、かなりへとへとになりながらも
踊り続け、こどもたちに丁寧に踊りを教えてくださいました。

その後、獅子頭を被らせてもらったり
太鼓を叩かせてもらったり、太刀踊りにもチャレンジしたり。
「シシ踊り」を構成する全ての役割を体験させてもらいました。

続いて、張山チームの踊りを見せていただきます。
さきほどの板澤チームとはまた全然異なる踊り。
力強くてメリハリのある、いわゆる「かっこいい」板澤チームに対して
強さよりも、たおやかで凛とした印象の張山チームの踊り。

このしなやかな踊りを、またみんなでチャレンジします。
今回は2人1組のペアになって、互いの間合いを感じながら、踊っていきます。

遠野で生まれ育ったネイティブな踊り手さんたちは、3歳くらいから踊りはじめるそうで
音に体が反応して無意識に踊れるそうですが、
富川さんはじめ移住者の踊り手さんは、
シシの装束を着重ねていくことで、だんだん「シシになる」モードになっていくんだそう。
また、この装束を着ることで、シシとしての強い自分、また別の自分になれるような感覚になれるのも
魅力だと富川さんはおっしゃいます。

普段、盆踊りといったお祭りや、獅子舞や節分などの行事でお面を被ったりすることはあっても
その地域ならではの郷土芸能に触れ、体験する機会が減ってきている昨今。
それは、地域の個性が均一化し、どこでも同じような衣食住が手に入るになってきたからこそ
失われている伝統文化も多くあるように思います。

一方で、世界屈指のミックスカルチャー都市であるこの渋谷で、今回遠野の伝統文化に触れられたことが
また新たな何かが生まれるきっかけになったようにも思います。

その土地、風土、気候だからこそ生まれた文化を、また新たな文化と混ぜ合わせて
未来へ受け継いでいく。そんな時間になっていたら嬉しいです。